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水槽を引っ越すとき|魚・飼育水・ろ材を運ぶ順番
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水槽を引っ越すとき|魚・飼育水・ろ材を運ぶ順番

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水槽を引っ越すとなると、魚をどう運ぶかだけでなく、「今の飼育水はどれくらい持っていく?」「フィルターのろ材はどうする?」「水槽は水を残したまま運んだ方がいい?」と、いくつもの判断が重なります。長く維持してきた水槽ほど、できるだけ今の環境をそのまま新居へ持っていきたくなるかもしれません。ただ、飼育水、ろ材、水槽本体は、それぞれ残したい理由が違います。

とくに区別しておきたいのが、古い飼育水を残すことと、これまでの生物ろ過を引き継ぐことは同じではないという点です。魚が入る水の急変を避けつつ、成熟したろ材をできるだけ維持し、水槽本体は安全に運べる状態へ分けると、引っ越し当日の順番を考えやすくなります。

まず整理したいのは、「古い水」と「ろ材」は役割が違うこと

「バクテリアを残すために、飼育水はできるだけ全部運んだ方がよい」と考える人もいるかもしれません。しかし、水槽の生物ろ過を担う微生物は、飼育水の中だけにいるわけではありません。家庭用の淡水水槽を対象にした研究では、バイオフィルターによる硝化が、水槽全体の窒素変換の81〜86%以上を担っていました。フィルターのろ材表面に形成された微生物の集まりが、アンモニアを処理するうえで大きな役割を持っていたという結果です。

これは「バクテリアはろ材にしかいない」という意味ではありません。底砂など水槽内の表面にも微生物は存在します。ただ、引っ越しでこれまでのろ過環境を引き継ぐと考えたとき、成熟したろ材は優先して残したいもののひとつと考えられます。

飼育水は「バクテリアを運ぶため」だけのものではない

飼育水を新居へ持っていく意味がなくなるわけではありません。魚を旧居と同じ水で運べるほか、新居で補う水との水質差を小さくする材料にもなります。

一方で、「古い水を何割残せば安全」という家庭水槽に共通する科学的な基準は明確になっていません。古い水の量だけで、ろ過環境がどれだけ維持できるかを判断することもできません。そのため、すべての飼育水を無理に運ぼうとするより、魚を運ぶために必要な水、成熟したろ材、新居で使う適切に処理した水をそれぞれ分けて考える方が、準備を組み立てやすくなります。

成熟したろ材は、乾かさず新居へ引き継ぐ

フィルターを止めたら、使用していた生物ろ材は乾燥させず、濡れた状態を保って運びます。飼育水などを使って湿った状態を保つ方法が、水槽メーカーの移設手順でも案内されています。

ただし、古い水に沈めて密閉しても、何時間でも同じ状態を維持できるわけではありません。普段のフィルター内では、ろ材へ水が流れ、酸素を含んだ水が供給されています。フィルターを止めれば、その環境も止まります。家庭の水槽で「何時間までなら問題ない」という一律の基準は明確になっていないため、乾燥や極端な温度変化を避けながら、停止している時間をできるだけ長引かせず、新居でフィルターを再稼働できるよう段取りを組むことが大切です。

旧居では、魚の水を確保してから水槽を空にする

旧居で水槽を解体するときは、いきなり底砂や装飾を取り出すのではなく、魚を運ぶための水から確保します。底砂を動かすと、水槽の底にたまっていたものが舞い上がり、水が濁ることがあるためです。魚の輸送に使う飼育水は、その前に別の容器へ取っておくと、比較的きれいな状態で使えます。

当日は、次の順で進めます。

  1. 魚を運ぶための飼育水を取る
  2. 魚を袋やふた付き容器へ移す
  3. フィルターを止め、成熟したろ材を濡れた状態で確保する
  4. 装飾、石、流木、底砂などを水槽から出す
  5. 残った水を抜き、水槽本体を空にする

ヒーターを使用している場合は、取り外しや再通電について製品ごとの説明書に従います。ヒーターによって指定されている待機時間が異なるため、共通の時間を決めることはできません。

引っ越し前の給餌も少し意識しておきたい部分です。事前に給餌を控えることで、輸送中の排泄物を減らし、水質を保ちやすくする考え方があります。

ただし、商業輸送で使われる長い絶食時間を、家庭での数時間の引っ越しへそのまま当てはめることはできません。「前日から必ず絶食」と決めるのではなく、少なくとも出発直前にたっぷり餌を与えることは避ける、と捉えるのがよいでしょう。

水槽本体は、水や底砂を残したまま運ばない

環境を残すために、水槽へ少し水や底砂を残したまま運びたくなることもあります。しかし、水槽メーカーの取扱説明では、水槽本体は水や中身を取り除き、空にして運ぶよう案内されています。

水や底砂、石などが残っていると、水槽そのものが重くなるだけでなく、運搬中に中身の重さが特定の場所へかかったり、水が揺れたりします。ろ材や底砂を再利用することと、それらを水槽本体へ入れたまま運ぶことは別です。魚、ろ材、底砂などはそれぞれ別に移し、水槽本体は空の状態で運ぶと考えましょう。

運搬中は、魚とろ材の「温度・酸素・時間」を意識する

魚を運ぶ方法は、「袋がよい」「バケツがよい」と容器だけでは決まりません。魚の大きさや数、移動時間、気温、酸素を確保できる状態かどうかを合わせて考えます。

小〜中型魚を少数ずつ運ぶなら魚用の袋、比較的大きな魚や自家用車での移動ではふた付き容器など、条件によって使いやすい形は変わります。どちらの場合も、漏れや飛び出しを防ぎ、車内で容器が倒れたり大きく揺れたりしない状態にしておきます。

魚の輸送中には、酸素だけでなく、水温、pH、アンモニア、魚の密度、輸送時間などが互いに関係します。そのため、「30分ならエアレーション不要」「数時間なら必要」といった共通の線引きはできません。

魚が多い、大きい、移動が長い、気温が高いといった条件では、酸素条件をより意識する必要があります。そうした場面では、電池式のエアポンプも選択肢になります。

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急に冷やしたり温めたりするより、温度変化を小さくする

運搬時の水温は、移動前とまったく同じ数字に固定するというより、短時間で大きく変わらない状態をつくることが軸になります。とくに車内は、直射日光や外気の影響を受けやすい場所です。魚の袋や容器を断熱できる箱などへ収め、日差しが直接当たる場所や温度が大きく変わる場所を避けます。

金魚と一般的な熱帯魚では適した水温も異なるため、「夏だから保冷剤」「冬だからカイロ」と一律には決められません。強く冷やす、強く温めるのではなく、これまでの水温から急に離れないように運ぶという考え方が使いやすいでしょう。

ろ材も同じく、乾燥だけでなく極端な高温・低温を避けます。魚とろ材のどちらについても、新居で水槽を復旧するまでの時間が長くなりすぎないよう、設置場所や必要な道具はあらかじめ準備しておきます。

新居では、魚より先に水槽とろ過環境を戻す

新居へ着いたら、魚をすぐ水槽へ移すのではなく、先に魚を受け入れられる水槽をつくります。空の水槽を安定した場所へ設置し、底砂や装飾、フィルター、ヒーターなどを戻しましょう。水槽台や設置面については、使用している水槽の取扱説明書に沿って確認します。

続いて、持ってきた飼育水と、新しく用意した水を使って水槽を満たします。ここで重要なのは、「旧水を先に入れるか、新水を先に入れるか」という投入順そのものではありません。その順番に生物学的な必然性があるとはいえず、魚を戻すときに使う水が適切に処理され、温度やpHなどが急に変わらない状態になっているかを見る方が重要です。

新しい水は脱塩素してから使う

日本の水道水には消毒のため残留塩素があります。そのため、水道水をそのまま魚の飼育水として追加するのではなく、適切に脱塩素してから使います。

引っ越し先が近所であっても、この点は変わりません。また、新居が別の水道事業区域なら、旧居と新居でpHや硬度などに差がある可能性もあります。持ってきた飼育水を使う場合も、「古い水だから安全」と考えるのではなく、最終的にできあがった水槽水と魚が入っている輸送水を比べて考えます。

ろ材とフィルターは早めに再稼働する

旧居から持ってきた成熟ろ材は、フィルターへ戻して再稼働させます。フィルターを止めている間は普段の水流がなくなっているため、新居で水槽を整えたら、必要以上に停止時間を延ばさない流れにしておくと扱いやすくなります。

ヒーターも、水位や設置方法を確認し、使用している製品の説明書に従って通電します。水槽へ入れてすぐ電源を入れられるとは限らないため、引っ越し前に説明書を確認しておくと、当日の判断を減らせます。

同じ水槽でも、魚を戻す前に水の違いを見る

「元と同じ水槽へ戻すだけなら、水合わせはいらないのでは」と思うかもしれません。しかし、魚にとって変化するのは水槽という器ではなく、周囲の水です。

旧居を出てから時間が経てば、魚が入っている輸送水の温度や水質は変化します。一方、新居の水槽には新しい水を加えるため、こちらも出発前の水槽とまったく同じとは限りません。

魚を戻す前には、少なくとも輸送水と水槽水の水温やpHなどを見比べます。差が明らかにある場合は、急に移すのではなく、徐々に新しい環境へ順応させる考え方があります。一方で、「○℃以内ならそのまま入れてよい」「pH差が○なら水合わせ不要」といった、金魚や一般的な熱帯魚すべてに使える共通の安全基準は明確になっていません。

そのため、同じ水槽かどうかではなく、いま魚がいる水と、これから入る水がどれくらい違うかを基準にします。

引っ越し後は、魚の様子と水質の両方を見る

魚を水槽へ戻せたら、引っ越し作業そのものは一段落します。ただ、成熟したろ材を持ってきた場合でも、移動前とまったく同じろ過能力が保たれているとは限りません。

生物ろ過の働きが落ちていれば、魚を戻した後にアンモニアや亜硝酸が増える可能性があります。引っ越し後は、水温やpHに加えて、とくにアンモニアと亜硝酸を確認すると、ろ過環境の変化を把握しやすくなります。こうした水質は魚の見た目だけでは分からないため、水質検査用品を使って確認する方法もあります。

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「引っ越し後は○日間、毎日測る」といった一律の期間は決められません。ろ材が乾いてしまった、フィルター停止が長引いた、ろ材や底砂を大きく洗ったなど、これまでのろ過環境への変化が大きかった場合ほど、水質の推移を慎重に確認する必要があります。

魚の様子にも変化があれば、水槽側の状態と合わせて見ます。呼吸が速い、水面付近に集まる、泳ぎが不安定、底でじっとしている、餌を食べないといった変化を、すぐに「引っ越し疲れ」と決めつけるのではなく、水温、水質、フィルターの動作、酸素を確認するきっかけとして捉えます。

水槽の引っ越しは、「何をそのまま残すか」を分けて考える

水槽の引っ越しでは、今ある環境を丸ごとそのまま運ぼうとすると、かえって準備が複雑になります。飼育水は魚の輸送や新旧の水質差を小さくするために使い、成熟したろ材はこれまでの生物ろ過を引き継ぐために乾燥させず運びます。一方、水槽本体は水や底砂を抜いて空にし、安全に運べる状態へ分けます。

新居では魚を急いで戻すより、水槽、ろ材、フィルター、水温、水質を先に整えます。そのうえで、輸送水との違いを確認して魚を移し、再設置後は魚の様子だけでなくアンモニアや亜硝酸なども確認します。

「古い水を何割残せばよいか」「何時間なら大丈夫か」という一つの数字に当てはめるより、魚は温度や酸素から守る、ろ材は乾燥や長い停止から守る、水槽本体は空にして守る、新居では水の急変を避けると役割を分けると、自分の移動時間や季節、水槽の条件に合わせて引っ越しの手順を組み立てやすくなります。

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