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台風・停電後に水槽の電気が戻ったら|フィルター・水質・給餌の確認
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台風・停電後に水槽の電気が戻ったら|フィルター・水質・給餌の確認

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台風や設備トラブルによる停電が終わり、水槽にも電気が戻ると、止まっていたフィルターやヒーターを早く動かして、いつもの状態へ戻したくなるかもしれません。ただ、復電したことと、水槽がすぐ停電前の状態へ戻ったことは同じではありません。停電中には水流やエアレーションが止まり、水温や酸素、水質、生物ろ過の状態が変わっている可能性があります。

一方で、「何時間停電したら危険」「数時間でろ過バクテリアが全滅する」と、時間だけで一律に判断することもできません。影響は、水量、生体密度、水温、有機物の量、魚種、ろ過方式などによって変わります。

復旧後は、止まっていた時間だけを見るのではなく、いまの魚、水、フィルターがどうなっているかを順に確かめていくと、次の対応を考えやすくなります。

電気が戻っても、まず全部の機器をオンにするとは限らない

復電に気づいたら、最初に水槽まわりと魚の現在の状態を確認します。

水槽まわりが濡れていないか

台風や豪雨による停電では、単に電気が止まっただけでなく、水槽周辺のコンセントや電源タップ、ポンプ、ヒーターなどが水に浸かったり、損傷したりしている場合があります。総務省消防庁は、損傷した電気機器や配線への再通電によって火災が起こる「通電火災」への注意を呼びかけています。また、東京電力パワーグリッドも、一度水につかった屋内配線や電気製品は漏電などの原因になるため使用しないよう案内しています。

水槽の周囲が浸水していたり、電源まわりに異常があったりするときは、通常の「停電で水槽機器が止まっただけ」の状況とは分けて考えます。

魚の呼吸・姿勢・泳ぎ方を見る

次に見るのは魚の状態です。停電で酸素供給が止まると、水面付近であえぐ、呼吸が速くなる、動きが鈍くなるといった変化が見られることがあります。水面付近でのあえぎや無気力は、低酸素時の代表的な徴候です。

ただし、魚が水面にいるだけで酸欠と決めることはできません。アンモニアや亜硝酸などの水質悪化でも、異常な呼吸や行動が見られることがあります。水面にいるかどうかだけでなく、口や鰓の動き、姿勢、泳ぎ方、反応が普段とどう違うかを見ておきます。

水温が普段からどれくらいずれているかを見る

停電中にヒーターや冷却機器が止まれば、水温も変化します。魚の適した水温は種類によって異なるため、「復旧時に○℃なら危険」という共通の数字を置くことはできません。現在の水温を測り、普段その魚を飼育している水温からどの程度ずれているかを確認します。

また、魚は急激な温度変化からも影響を受けます。大きくずれていたとしても、「早く元の温度へ戻す」ことだけを優先せず、急な変化を加えないように考えます。

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魚が苦しそうなら、フィルターより先に酸素を戻す考え方もある

魚が水面で激しくあえいでいるなど、低酸素が疑われる状態では、酸素供給を戻すこととフィルターを再始動することを分けて考えます。エアレーションによって水が動き、水面が攪拌されると、空気と水のあいだのガス交換が促されます。泡そのものだけで酸素を送り込んでいるというより、水の循環や水面の動きも酸素供給に関わっています。

そのため、止まっていた外部式フィルターなどを点検したい場合でも、別系統のエアレーションを安全に使える状態なら、魚への酸素供給を先に戻すという切り分けができます。

一方、エアレーションを再開して魚の呼吸が落ち着いても、それだけで水質まで停電前に戻ったとは限りません。アンモニアや亜硝酸が蓄積していれば、酸素を増やすだけでは取り除けないためです。「水面であえいでいるから酸欠」とひとつの原因に決めず、酸素供給を戻しながら水温や水質も確認すると、状況を捉えやすくなります。

止まっていたフィルターは、時間だけでなく中の状態を見る

停電後に迷いやすいのが、止まっていたフィルターをそのまま再始動してよいかどうかです。その際は、ろ過バクテリアが生きているかと、フィルターをそのまま再始動してよい状態かを分けて考える必要があります。

「数時間でバクテリアが全滅」とは言い切れない

水槽の生物ろ過では、微生物がアンモニアや亜硝酸の処理に関わっています。こうした硝化には酸素が必要なので、フィルターの水流が止まり、酸素供給が弱くなれば、ろ過機能は低下する可能性があります。

一方で、「数時間フィルターが止まると、ろ過微生物がすべて死ぬ」と一律に判断することはできません。硝化微生物が、より長い飢餓・休止状態から活動を回復した研究例もあります。ただし、これらは家庭の水槽で、汚れを含んだフィルターを停電させた実験ではありません。

「数時間なら菌は無傷」「○時間を超えたら全滅」といった境界を置かず、停電によって生物ろ過の処理能力が一時的に落ちている可能性があると考える方が、状況に即しています。

外部式など水が滞留するタイプは内部も確認する

ろ過微生物が一律に全滅するとは言えなくても、フィルター内部の水の状態は別の問題です。特に外部式フィルターのように、水とろ材、捕捉した汚れが比較的閉じた空間に残る構造では、停電中は水流が止まります。停止時間が長く、内部に有機物が多いほど、通常運転中とは違う環境になりやすくなります。

長時間停止した外掛け式や外部式フィルターは、復旧後に内部を確認・清掃してから再接続する方法があります。ただし、「○時間以上なら必ず分解する」という科学的な共通基準があるわけではありません。

再始動できる状態かどうかは、次の点を合わせて確認します。

  • 停電していた時間
  • フィルターの構造
  • 普段からどの程度汚れていたか
  • 内部の水に濁りや変色がないか
  • 異常なにおいがないか
  • 機械的に正常に動かせるか

ろ材を洗うなら、落としすぎない

内部に多くの汚れがたまっていて清掃する場合も、ろ材を新品同様まで洗うこととは分けて考えます。

生物ろ過に関わる微生物をできるだけ維持するには、ろ材を水槽の水ですすぐ方法があります。水道水に含まれる塩素やクロラミンは魚に有害で、微生物を不活化するためにも使われる物質です。

そのため、ろ材をすすぐ必要がある場合は、水槽水や適切に除塩素した水を使って堆積物を軽く落とします。フィルターを「全部リセットする」ことが復旧の目的ではありません。内部の問題を減らしながら、残っている生物ろ過も必要以上に失わないように扱います。

水換えは、水質を確認してから考える

停電したからといって、水槽の水をすべて交換する必要があるとは限りません。一律に全換水するのではなく、魚の状態と水質から考えます。

まず見たいのはアンモニア・亜硝酸・pH・水温

停電後の水質では、アンモニア、亜硝酸、pH、水温が主な確認項目になります。アンモニアは魚の排泄や有機物の分解によって生じます。生物ろ過の処理能力が落ちていると、その後も生成されるアンモニアを処理しきれず、蓄積する可能性があります。

亜硝酸も同じように、生物ろ過のバランスが崩れたときに確認したい項目です。アンモニアは数値だけを単独で見るのではなく、pHと水温も合わせて考える必要があります。一般的な家庭用検査で測る総アンモニアのうち、毒性の高い非イオン化アンモニアの割合は、pHや水温によって変わるためです。

こうした項目は水の見た目だけでは判断しにくいため、水質を確認したい場面では淡水水槽用の検査キットが手段のひとつになります。

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「停電したから全換水」ではない

魚の呼吸や泳ぎ方に大きな異常がなく、水質検査でも大きく崩れていないのであれば、停電したという理由だけで全換水を判断するのは避けます。一方、アンモニアや亜硝酸が検出・上昇している場合には、部分換水も対応のひとつです。

ただし、どの数値から何%換水するかについて、一律の基準を置くことはできません。「○ppmなら○%」という手順に当てはめるのではなく、アンモニアや亜硝酸の状態、pH、水温、魚の様子を合わせて部分換水を考えます。

水を換えるときも急な変化を増やさない

水換えによって水質を整えようとしても、新しく入れる水が魚にとって大きな環境変化になれば、別の負担を加えることになります。特に交換水との水温差には注意します。また、水道水に含まれる塩素やクロラミンは魚に有害なため、水槽へ入れる前に適切な処理が必要です。

停電後だから特別な水換えをするというより、普段の水換えと同じく、交換する水そのものの条件も確認したうえで行います。

餌は最後に戻し、その後も水槽を見直す

電気が戻って魚が泳ぎ始めると、餌もいつものように与えたくなるかもしれません。ただ、給餌は復旧対応のなかでは後ろに置いて考えます。餌を食べれば魚から排出されるアンモニアが増え、食べ残しや排泄物も水槽内の有機物になるため、生物ろ過が停電前と同じ処理能力まで戻っているかわからない段階で給餌を急ぐと、水質への負荷が増えます。

アンモニアが確認されたときは、給餌を止めるか減らす対応があります。フロリダ・シーグラントでは、停電からの復旧後24時間は給餌しないという保守的な案内もあります。ただし、この24時間はすべての魚に共通する生理学的な境界ではありません。魚種や成長段階、健康状態によって必要性は異なり、稚魚や病魚などに同じ基準をそのまま当てはめることもできません。

給餌の再開は、「何時間たったか」だけではなく、魚の呼吸や泳ぎ方が普段に近づいているか、水温が落ち着いているか、アンモニアや亜硝酸が問題になっていないかを見て考えます。

また、復旧直後の検査で問題が見つからなくても、それで確認を終える必要はありません。生物ろ過の処理能力が一時的に低下していれば、その後も魚からアンモニアは排出されるため、あとから水質に変化が現れる可能性があります。数時間後から翌日にも、魚の呼吸や泳ぎ方、水温、フィルターの動作、アンモニアや亜硝酸をもう一度確認しておくと、復旧後の変化を追いやすくなります。

まとめ

停電から電気が戻ったとき、「何時間止まっていたか」は状況を知る材料のひとつですが、それだけで水槽の安全・危険を決めることはできません。

水槽まわりの電気設備に問題がないかを確認し、魚の呼吸や姿勢、水温を見る。低酸素が疑われるなら酸素供給を戻し、止まっていたフィルターは構造や内部状態に応じて再始動を考える。そのうえでアンモニアや亜硝酸などの水質を確認し、必要なら部分換水を検討します。

給餌まで一度に普段どおりへ戻す必要もありません。復旧後しばらくは、魚と水質がどう変わっていくかを確かめる時間として考えられます。

「停電が何時間だったか」だけではなく、いま魚・水・フィルターがどんな状態にあるか。そこを基準にひとつずつ戻していくと、復旧後の判断を整理しやすくなります。

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