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猫がふみふみしながら布を吸うとき|見守りと誤飲リスクの分け方
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猫がふみふみしながら布を吸うとき|見守りと誤飲リスクの分け方

毛布の上で前足を交互に動かしながら、布に口をつけて吸う猫。いつもの落ち着いたしぐさに見える一方、よく見ると布を噛んでいたり、表面が毛羽立っていたりすると、「これは布を食べているのでは」と気になることもあります。

猫が布を吸うことと、布を実際に飲み込むことは同じではありません。ただし、吸うだけでなく布を摂取することもあるため、「ふみふみしているから甘えているだけ」「吸っているだけだから誤飲はない」とも言い切れません。

判断するときは、行動の意味を推測するよりも、布に何が起きているかに目を向けます。

布を「吸う」と「食べる」は分けて考える

猫の布に対する行動は、ひとまとめにはできません。布に口をつけて吸う、歯で噛む、繊維を噛み切る、実際に飲み込む、という動きはそれぞれ別です。

食べ物ではない物を口にする異食行動を扱った研究でも、布に対する行動は「吸う」「噛む」「飲み込む」に分けて記録されています。つまり、毛布を吸っているからといって、その時点で布を食べているとは限りません。

一方で、両者が無関係というわけでもありません。2016年の症例対照研究によると、布を吸っていた猫の56%で布の摂取も報告されました。この数字は一般的な猫全体の割合ではなく、特定の調査対象を分析した結果です。それでも、「吸っているだけに見えるから、飲み込むことはない」とは言い切れません。

そのため、猫の口元だけを見るのではなく、行動のあとに毛布やタオルがどうなっているかまで確認すると、状況を分けやすくなります。

ふみふみしていることだけでは、誤飲リスクは分けられない

布を吸うときに、前足でふみふみする猫もいます。吸う行動には授乳期の吸啜行動との関連が考えられていますが、成猫がふみふみしながら布を吸うことについて、「母猫を思い出している」「甘えている」「安心するためにしている」と心理状態まで実証した研究は十分ではありません。

ふみふみを伴っていること自体は、布を飲み込んでいないことの証拠にはなりません。誤飲の可能性を考えるときは、ふみふみの有無よりも、布が壊れているかどうかへ目を向けます。

見守るときは、猫より先に「布の変化」を見る

布を吸ったあとも形や表面がほとんど変わらず、繊維を噛み切った跡や欠損が見られないなら、現時点では布の摂取を示す変化は見られません。このような状態では、布の変化をときどき確かめながら見守れる余地があります。

ただし、破損がないことだけで安全とは言い切れません。吸う回数や穴の大きさだけから誤飲を予測できる定量的な安全ラインは示されていないためです。

見る場所は、猫の行動と布の状態を組み合わせると整理しやすくなります。

  • 布を吸うだけで、形がほとんど変わらない
  • 表面に噛み跡や毛羽立ちが出てくる
  • 繊維や糸を前歯で引っ張る
  • 小さな穴やほつれができる
  • 布の一部がなくなる

前半ほど「吸う」という行動が中心ですが、後半になるほど猫が布を分離できる状態になります。

破損がないなら、変化を確認しながら見守る余地がある

毎晩同じ毛布を吸っていても、その毛布が壊れておらず、糸や繊維を引き出す様子もなく、猫の食欲や活動性などにも変化がないのであれば、その行動だけを理由に異食症や病的な行動と決めつける必要はありません。

ただし、以前は吸うだけだったのに、最近になって歯で引っ張るようになった、噛み跡が増えた、といった変化があれば見方は変わります。「前からしている行動か」だけでなく、「扱い方が変わっていないか」を見ます。

穴やほつれが始まったら、誤飲の有無が分かりにくくなる

布に穴や欠損が出てきた段階では、「噛み壊しただけなのか、破片を飲み込んだのか」を飼い主が見分けにくくなります。猫の異食行動を調べた研究でも、この区別の難しさが指摘されています。

飲み込む瞬間を見ていなくても、布片がなくなっているなら、摂取の可能性を完全には否定できません。そのため、小さな穴やほつれが出始めた布は、そのまま自由に使わせ続けるより、猫が届く場所から外す、別の物に替えるなど、環境を見直す材料になります。

糸やひも状になったものは、布片とは分けて考える

毛布の端やタオルのほつれから長い糸が出ている場合は、単なる布の破片とは少し違う見方が必要です。猫が糸や毛糸、ひも状の物を飲み込むと、線状異物になることがあります。線状異物の一端が舌の付け根や胃側などに引っかかったまま腸が動くと、腸管が糸に沿ってたぐり寄せられ、腸壁が傷ついたり、穴が開いたりすることがあります。

すべてのほつれがそのまま線状異物になるわけではありませんが、布から長い糸を引き出して噛むようになったら、通常の「毛布を吸う」状態とは分けて考えます。毛糸、長く伸びたほつれ、リボン状の部分などを口にしている場合は、その素材へのアクセスを見直します。

口やお尻から糸が見えても、自分で引っ張らない

口や肛門から糸状の物が見えている場合は、自分で引っ張って取り出さないようにします。糸が体内のどこかに固定されている状態で引くと、消化管を傷つける可能性があるためです。このような状態では、見えている部分を処理しようとせず、動物病院へ相談します。

行動をやめさせるより、飲み込める状態を減らす

布を吸う行動そのものを、一律にやめさせる必要があるとは限りません。実際に摂取しているかどうかを分けたうえで、飲み込める物を減らす方が考えやすくなります。たとえば、毛布を吸っても形が変わらない状態から、糸を引っ張る、穴を開ける状態へ変わったなら、その布は常に出したままにしないという選択ができます。

「どの素材か」より「その猫が壊すか」を見る

「ウールなら危険」「フリースなら安全」といった、素材ごとの明確な線引きは研究で示されていません。

素材名だけで判断するより、その猫が実際にどう扱っているかを見ます。同じ布でも、吸うだけで形が変わらない猫もいれば、歯で繊維を引き出して穴を開ける猫もいます。壊し始めた物、長い糸が出るようになった物、破片が欠ける物は、誤飲しているかどうかを把握しにくくなるため、使い方や置き場所を見直します。

留守中は、飲み込める物へのアクセスを見直す

布を噛み壊したり飲み込んだりすることがある猫では、留守中など確認できない時間に、問題となる物へ自由にアクセスできない状態にする方法があります。穴の開いた毛布や、糸が出始めた布をしまっておく、猫が開けにくい収納へ移すといった方法なら、吸う行動そのものを叱らずに誤飲しやすい環境だけを変えられます。

遊びやほかの活動の機会を整える方法も行動管理の一部として挙げられています。ただし、「退屈だから布を吸う」「遊ばせれば治る」と原因をひとつに決める根拠はありません。

誤飲した可能性があるときは、症状だけで判断しない

布の一部がなくなっている、飲み込むところを見た、糸状の物を口にした可能性がある場合は、「吐いていないから大丈夫」と症状だけで判断することはできません。

消化管に異物があると、嘔吐、食欲低下、元気の低下、腹部の不快感や痛み、下痢などがみられることがあります。ただし、症状の出方は異物の位置や閉塞の程度などによって変わり、目立った変化がない場合もあります。

相談するときは、「布を吸っていた」という情報だけでなく、何がどのくらい欠けているか、糸状かどうか、飲み込むところを見たか、猫の体調に変化があるかを伝えられると、状況を整理しやすくなります。また、布の摂取を繰り返している、対象が布だけでなく紙やプラスチックなどにも広がっている、以前より頻度や強さが増えているといった場合も、「癖」とだけ決めつけず、身体面と行動面を含めて獣医師へ相談する材料になります。

早期離乳やストレスだけを原因にしなくてよい

布を吸う行動については、早期離乳、品種、環境の変化などとの関連が研究されています。ただし、どれかひとつを、その猫が布を吸う原因として特定できるわけではありません。

早期離乳についても、布を吸う行動との関連を示した研究がある一方で、同じ関連を認めなかった研究もあります。品種による違いも報告されていますが、特定の品種だけに起こる行動ではありません。

引っ越しなどの環境変化との関連を示した研究もありますが、布を吸う行動だけを見て「ストレスが原因」と判断することはできません。過去に何があったかをひとつの原因に結びつけるより、今の猫が布を「吸っているだけなのか」「壊しているのか」「飲み込んでいる可能性があるのか」を分けて見る方が、暮らしの中では判断につながります。

まとめ

猫がふみふみしながら布を吸っていても、その行動だけで誤飲しているとはいえません。吸うこと、噛むこと、飲み込むことは分けて考えます。

見守るときの手がかりになるのは、布の状態です。吸ったあとも形が変わらないのか、毛羽立ちや噛み跡が増えているのか、穴やほつれができているのか、布片や糸がなくなっているのかを確認します。

穴やほつれが始まれば、その布へのアクセスを見直す材料になります。特に長い糸やひも状の物を飲み込んだ可能性がある場合や、実際の欠損、嘔吐・食欲低下などの体調変化がある場合は、症状の有無だけで判断せず動物病院へ相談します。

「甘えているのか」「ストレスなのか」と意味をひとつに決めるより、布が壊れているか、飲み込める状態になっているか、実際の摂取が疑われるか、体調に変化があるかを順番に見ると、今どこまで対応を変えるかを考えやすくなります。

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