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犬猫にも利き足はあるのか|行動の偏りから分かること
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犬猫にも利き足はあるのか|行動の偏りから分かること

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「うちの猫、いつも左前足でおもちゃを触っている気がする」 「犬がお手をするとき、決まって同じ足を出す」

そんなふうに感じたことがある人は少なくないかもしれません。

実際、犬や猫にも前足の使い方に左右差が見られることは、動物行動学の研究でも確認されています。ただし、その“利き足”は、人間の利き手とまったく同じものとして扱えるわけではありません。

この記事では、犬猫の「利き足」のような左右差について、現在どこまで分かっているのかを整理しながら、飼い主が日常の行動をどう見ればよいのかを考えていきます。

犬猫にも“利き足”のような左右差はある

研究分野では、犬猫の前足の偏りを「paw preference(前足使用の偏り)」や「laterality(左右差・側性化)」という言葉で扱います。

人間でいう「右利き・左利き」に近い概念ですが、完全に同じものではありません。

2019年のメタ解析では、左右どちらかへの偏りを示した個体は、猫で約78%、犬で約68%と報告されています。一方で、人間のように「集団全体として強い右利きがある」とまでは言えないことも示されました。

また、猫では雌が右寄り、雄が左寄りになりやすい傾向も報告されています。ただし、研究によって結果は揺れており、すべての個体に当てはまるわけではありません。

つまり、

「犬猫にも左右差はありそう」 「でも、人間の利き手ほど単純ではない」

というのが、現時点での比較的落ち着いた整理です。

どんな行動で左右差が観察されるのか

研究では、犬猫が自然にどちらの前足を使うかを、さまざまな場面で観察しています。

たとえば、

  • フードを取り出す
  • おもちゃを押さえる
  • 段差を降りる
  • 障害物をまたぐ
  • 歩き始めるときに最初に出す足

などです。

猫では、狭い場所からフードを取り出す課題で左右差が観察される研究があります。犬では、フード入りのおもちゃを押さえる前足や、立った状態から最初に踏み出す足が調べられてきました。

フード・おもちゃ・段差などの日常動作

家庭の中でも、左右差らしきものが見えやすい場面はあります。

たとえば、

  • おやつ入りのおもちゃを押さえる前足
  • ソファや階段から降りるときに先に出す足
  • おもちゃを触るときによく使う前足

などです。

知育トイやフードパズルを使うと、前足の使い方が観察しやすくなることもあります。

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ただし、研究でも「どの課題を使うか」で結果が変わることが分かっています。

同じ犬でも、

  • おもちゃでは右
  • 歩き始めでは左

ということもあり得ます。

そのため、「この行動だけで利き足を断定する」のは難しいと考えられています。

状況によって左右が変わることもある

研究では、課題の難しさや環境、ストレス状態によって左右差が変わる可能性も指摘されています。

つまり、“固定された性格”というより、

「その個体が、その状況で見せる偏り」

として考えたほうが、現在の研究には近いと言えそうです。

一度だけ見た行動よりも、

「何度見ても同じ側を使うか」 「別の場面でも似た傾向があるか」

を観察するほうが、左右差は見えやすくなります。

性格やストレスとの関係はどこまで分かっている?

「左利きの犬は不安定」 「右利きの猫は穏やか」

といった話を見かけることがあります。

実際、研究の中には、左右差と感情反応の関連を示唆するものもあります。

たとえば犬では、

  • 左寄りの個体が曖昧な刺激に慎重だった
  • 偏りの弱い個体が騒音に敏感だった

といった研究があります。

猫でも、左右差が弱い個体ほど攻撃的・非友好的に見える傾向を報告した研究があります。

ただし、ここで注意したいのは、「関連が示唆されている」と「性格診断に使える」は別だということです。

別の研究では、問題行動との明確な関連が見つからなかった例もあります。研究ごとに測定方法や対象個体が違うため、結果も一致していません。

そのため現在は、

「左右差が感情処理と関係している可能性はある」 「ただし、性格を単純に予測できる段階ではない」

という理解が適切と考えられます。

「うちの子は左利きだから神経質」といった決めつけは、まだ研究の範囲を超えています。

「うちの子は左利き」と決めつけないために

SNSでは、「完全に左利き」「絶対に右利き」といった表現が使われることがあります。

もちろん、日常の観察を楽しむこと自体は悪いことではありません。

ただ、研究で見られているのは、多くの場合「左右どちらを使いやすいか」という傾向です。

一度の観察では判断しにくい

研究では、数十回から100回近く行動を記録して左右差を調べることもあります。

それだけ、行動には揺れがあるということです。

そのため、

  • 一回だけ左を使った
  • 動画で一度そう見えた

だけで「左利き」と判断するのは、かなり難しいと言えます。

「なんとなくこの側が多そう」 「場面によって変わる」

くらいの見方のほうが、実際の研究には近いでしょう。

“左右差”と“急な変化”は分けて考える

もうひとつ大切なのは、「いつもの偏り」と「急な変化」を分けて考えることです。

普段から同じ前足を少し多く使うのは、個体差の範囲として見られることがあります。

一方で、

  • 急に片足を使わなくなった
  • 階段を嫌がるようになった
  • 体重をかけたがらない
  • 動きがぎこちない

といった変化は、単なる“利き足”ではなく、痛みや身体負担のサインである可能性もあります。

段差や滑りやすい床は、動き方の変化に気づくきっかけになることもあります。

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「左右差があるか」よりも、「いつもと違うか」を見る視点は、暮らしの中ではとても重要です。

行動をラベル化するより、“観察”を楽しむ視点

犬猫にも、前足の使い方に左右差は存在しそうです。

ただ、その左右差は、

  • 人間の利き手ほど固定的ではない
  • 状況によって変わることがある
  • 性格を単純に説明できるものではない

という特徴があります。

だからこそ、「右利き・左利き」というラベルを急いで貼るより、

「この子はこういう場面でこの動きをするんだな」

と観察すること自体が、犬猫への理解につながっていくのかもしれません。

日常の小さな偏りを見つけることは、“性格診断”というより、一緒に暮らす相手を丁寧に見るきっかけとして楽しめそうです。

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