犬がしきりに耳を掻いたり、頭をぶんぶんと振ったりしていると、「すぐ病院に行くべきだろうか」と迷う方は少なくありません。
耳のかゆみはよく見られる症状ですが、その背景には「外耳炎」と呼ばれる炎症が隠れていることがあります。外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの「外耳道」に炎症が起きている状態のことです。軽いかゆみで始まることもありますが、放っておくと痛みや悪臭を伴うこともあります。
ここでは、耳のかゆみの原因を整理しながら、どのサインから受診を検討したいのか、そして家庭でできることと控えたいことを、段階に分けて考えていきます。
犬が耳をかゆがる理由はひとつではありません。
代表的なのが「外耳炎」です。細菌や真菌と呼ばれる微生物の増殖、アレルギー体質、耳の中の湿気などが重なって起こることがあります。
そのほかにも、耳ダニという寄生虫によるかゆみや、草の種などの異物が入り込むケース、皮膚トラブルの一部として耳に症状が出る場合もあります。
原因が違えば対応も変わるため、「ただのかゆみ」と決めつけず、症状の出方を観察することが大切になります。
外耳炎は、いきなり強い症状が出るとは限りません。少しずつ変化していくことが多いため、段階で整理してみましょう。
この段階では、痛みよりも「違和感」や「かゆみ」が中心です。元気や食欲に大きな変化がないことも多いでしょう。
分泌物の色や量、においの変化は、炎症が進んでいるサインのひとつです。
痛みや全身状態の変化がある場合は、早めの受診を考えたいところです。
受診の目安は、「症状の強さ」と「続いている時間」を組み合わせて考えます。
軽いかゆみだけで、1日ほどでおさまるようなら、まずは様子を見るという選択もあります。ただし、数日続く、悪化している、分泌物やにおいがはっきりしてきた、といった場合は受診を検討します。
また、片耳だけだからといって安心できるとは限りません。外耳炎は片側から始まることもあります。反対側の耳もあわせて観察し、左右差を確認することが大切です。
再発を繰り返す場合は、体質やアレルギーが関わっている可能性もあります。その都度しのぐのではなく、背景を含めて相談する視点も必要になります。
耳のトラブルに気づいたら、まずは落ち着いて観察します。
こうした情報は、受診時にも役立ちます。
市販のイヤークリーナーは、汚れをやさしく拭き取る目的で使われることがあります。ただし、強くこすったり、炎症が強い状態で繰り返し洗浄したりすると、かえって刺激になることもあります。
特に注意したいのが、綿棒を耳の奥まで入れることです。耳の構造はまっすぐではなく曲がっています。奥まで押し込むと、汚れをさらに奥へ押しやってしまう可能性があります。
強い痛みや分泌物がある場合は、無理に自宅で処置をせず、早めに相談するほうが安全です。
耳のかゆみは、軽い違和感から始まることもありますが、進行すると生活の質を下げる症状につながります。
「様子を見る」と決める場合も、どのサインが出たら受診を考えるのか、自分なりの基準を持っておくことが大切です。迷ったときは、無理に判断を抱え込まず、動物病院で相談するという選択肢も思い出してみてください。