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犬のあくびにはどんな意味がある?眠気・緊張・落ち着きのサイン
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犬のあくびにはどんな意味がある?眠気・緊張・落ち着きのサイン

眠る前や起きた直後だけでなく、動物病院の待合室や爪切りの途中、指示を待っているときにも、犬が大きなあくびをすることがあります。そんな姿を見ると、「眠いのかな」と思う一方で、「緊張しているのでは」「続けていることを嫌がっているのでは」と迷うこともあるでしょう。

犬のあくびには、ひとつに決められない複数の背景があります。あくびそのものから気持ちを当てようとするより、直前に何があったか、体がどのような状態か、その後どう動いたかを合わせて考えると、犬の様子を整理しやすくなります。

犬のあくびは、眠気だけを表すとは限らない

眠る前や起きた直後に見られるあくび

犬も、眠る前や起きた直後、くつろいでいるときにあくびをします。

横になっていた犬があくびをし、そのまま体の力を抜いて眠るのであれば、休息に伴う自然な行動として考えられます。起きた直後に伸びをしながらあくびをして、その後いつもどおり活動を始める場合も同様です。

このような場面では、あくびの前後を含めて犬の体が緩んでおり、周囲から離れようとする様子や落ち着きのなさは見られません。

緊張や葛藤がある場面で見られるあくび

一方、犬のあくびは、緊張や不安、葛藤を伴う場面でも見られます。獣医行動学や動物福祉の観点では、不安や苦痛に伴うことがある非特異的な行動のひとつです。犬が社会的な負荷を受けたときに、あくびや口まわりの行動を示すことも実験で確認されています。

たとえば、診察や爪切りで体を動かしにくいとき、知らない人に近づかれたとき、指示を受けて長く待っているときなどです。遊びや外出を前にして興奮が高まっている場面でも、状態の変化とともにあくびが出ることがあります。

ただし、あくびをしたことだけで「強いストレスを感じている」「その場が嫌い」とは決められません。眠気、緊張、興奮など、異なる背景で似た行動が現れるためです。

意味を考えるときは、あくびの前後を見る

犬のあくびを読み取るときは、「直前」「全身」「直後」の三つに分けて考えると整理しやすくなります。

直前に何が起きていたか

あくびの直前に、犬にとって何らかの変化がなかったかを振り返ります。

眠っていたり、静かに休んでいたりしたのであれば、眠気や状態の切り替わりを考えやすくなります。反対に、ブラッシングを始めた、人が顔を近づけた、強い声で指示をした、知らない場所へ入ったといった直後なら、その刺激への反応も考えられます。

同じ犬が、同じ状況で繰り返しあくびをする場合は、その場面に負担が偏っていないかを見直す材料になります。

顔だけでなく体全体を見る

あくびをしたときの体が緩んでいるか、こわばっているかでも、受け取り方は変わります。

耳が後ろへ倒れる、視線をそらす、顔を背ける、鼻や口をなめるといった行動が重なる場合があります。体を低くする、固まる、しっぽを下げるなど、全身に緊張が見えることもあります。

一つひとつのしぐさには、緊張以外の理由もあります。口をなめるのは食べ物への期待かもしれず、顔を背けるのも単に注意をほかへ移しただけかもしれません。複数の変化が同時に現れているかを見ると、あくびだけに注目するよりも状況を捉えやすくなります。

あくびのあとにどう行動したか

あくびのあと、そのまま伏せて眠るのであれば、休息に伴う可能性を考えやすくなります。

反対に、体を固くする、後ろへ下がる、出口へ向かう、人から離れようとするといった行動が続く場合は、その場への負担を考える手がかりになります。

意味をひとつに決める必要はありません。「眠いのか、緊張しているのか」を当てるより、犬が休もうとしているのか、距離を取りたがっているのかを見るほうが、その後の接し方につなげやすくなります。

緊張がありそうなとき、一緒に見たいしぐさ

緊張や葛藤がある場面では、あくびのほかにも次のような変化が重なることがあります。

  • 目や口元:視線をそらす、顔を背ける、鼻や口をなめる、口元が固くなる
  • 姿勢:体を低くする、重心を後ろへ移す、動きを止める
  • 移動:その場を離れようとする、隠れようとする、落ち着かず歩き回る

耳やしっぽの位置も手がかりになりますが、普段の形や位置は犬によって異なるため、その犬の通常時との違いを見る必要があります。また、暑さや運動によるものではないのにパンティングが続いたり、震えが重なったりする場合も、あくびだけでなく全体として負担を考える材料になります。

これらが見られても、特定の感情を断定できるわけではありません。ただ、「いまの接し方や環境を少し変えたほうがよいか」を考えるには役立ちます。

ケアやトレーニング中のあくびは、やり方を見直す手がかりになる

爪切りやブラッシング、診察、トレーニングの途中で犬があくびをしても、一度のあくびだけですぐにすべてを中止する必要があるとは限りません。そのまま落ち着いていられるか、口なめや視線回避、体のこわばり、逃げようとする行動が重なっているかを確認します。

ほかの緊張の手がかりも見られるなら、一度手を止める、接触を弱める、指示を続けて出さない、少し距離を取れるようにするといった調整が考えられます。犬が落ち着きを取り戻したあとで再開できる場合もあれば、その日はそこで区切ったほうがよい場合もあります。

ケア中のあくびを「退屈している」「わがままを言っている」「反抗している」と受け取ると、犬が示している負担を見落としやすくなります。犬の態度を評価するのではなく、刺激の強さや進める速さが合っているかを考えるきっかけとして受け止めるほうが、次の対応を選びやすくなります。

「カーミングシグナル」は断定せずに受け止める

犬のあくびは、「カーミングシグナル」のひとつとして紹介されることがあります。一般には、自分や相手を落ち着かせたり、争いを避けたりするためのしぐさという意味で使われる言葉です。

あくびは緊張や興奮に伴って現れ、犬自身の状態調整に関係している可能性があります。ただし、犬が相手へ向けて「落ち着いて」と意図的なメッセージを送っているとまでは断定できません。

そのため、「相手を落ち着かせようとしている」と犬の意図を決めるより、「この場面で少し負担がかかっている可能性がある」と受け止めるほうが、研究で確認されている範囲に近い捉え方です。

普段と違うあくびでは、体調の変化も一緒に確認する

あくびの回数だけで、ストレスの強さや受診の必要性を判断する基準は確認されていません。普段より増えたと感じたときは、回数だけでなく、ほかに変わったところがないかも確認します。

食欲が落ちている、元気がない、よだれや口臭が増えた、食べにくそうにする、口元を頻繁に気にする場合は、口の中などに違和感がある可能性も考えられます。吐き気や嘔吐が重なっているときも、行動だけの問題とは限りません。

また、口を開けたまま苦しそうに呼吸する、胸やお腹を大きく動かして呼吸する、舌や歯ぐきの色がおかしい、ぐったりするといった変化は、通常のあくびとは分けて考える必要があります。このような呼吸や意識の異常が見られる場合は、あくびの意味を観察するより、動物病院へ連絡して対応を確認する状況です。

あくびだけで病気を推測する必要はありませんが、食欲、元気、口元、呼吸などの変化が重なる場合は、受診時に伝えられるよう状況を整理しておくとよいでしょう。

まとめ

犬のあくびは、眠気だけでなく、緊張や葛藤、興奮が高まる場面でも見られます。ただし、あくび一つから犬の気持ちを決めることはできません。

あくびに気づいたら、直前に何があったか、体が緩んでいるか固まっているか、その後に休むのか離れようとするのかを見てみましょう。ケアやトレーニング中なら、ほかの緊張の手がかりが重なっていないかを確かめ、刺激の強さや進め方を調整する材料にできます。

「あくびの意味を当てる」のではなく、その場で犬に何が起きていそうかを考えることが、日々の接し方を整える手がかりになります。

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