レオパが目を細めたり、すっかり閉じたりしている姿を見て、「ヤモリにはまぶたがないのでは?」と不思議に思ったことがあるかもしれません。レオパ(ヒョウモントカゲモドキ)には、実際に動かして目を閉じられるまぶたがあります。
一方、多くのヤモリ類では、レオパのような可動するまぶたの代わりに、透明な構造が目の前面を覆っています。
同じ「ヤモリの仲間」でも、目を覆うしくみは一様ではありません。その違いを知ると、レオパが目を閉じられることも、ほかのヤモリがいつも目を開けているように見えることも、ひとつのつながった仕組みとして見えてきます。
レオパには、動かして閉じられるまぶたがある
レオパには、目の前を開いたり閉じたりできる可動性のまぶたがあります。レオパの特徴は、可動する眼瞼をもち、透明な眼被(スペクタクル)をもたないことです。目の周りに「まぶたのように見える部分」があるだけではなく、解剖学的にも眼瞼をもつ動物であり、まぶたを閉じれば眼球の前面を外側から覆えます。
ただし、人間のまぶたと構造や動きがすべて同じという意味ではなく、通常の瞬きで上まぶたと下まぶたのどちらが主に動くのかまでは断定できません。レオパを含むトカゲモドキ類には、可動するまぶたとは別に、瞬膜と呼ばれる目の付属構造もみられます。その発達の程度は種によって異なるため、レオパが普段どのように使っているかも単純には言い切れません。
「人間のように動かせるまぶたがある」とイメージできますが、「人間とまったく同じ目の構造」と考えるより、爬虫類独自のつくりも含んでいると捉える方が正確です。
多くのヤモリは、透明な「眼被」で目を覆っている
では、「ヤモリにはまぶたがない」といわれる場合、目はむき出しになっているのでしょうか。多くのヤモリ類では、レオパのように開閉するまぶたの代わりに、透明な眼被「スペクタクル(spectacle)」、または「ブリル(brille)」が目の前面を覆っています。
この眼被は固定されているため、レオパのまぶたのように開いたり閉じたりするものではありません。透明なので、その奥にある目で外を見ることができます。
眼被は角膜そのものではない
外から見ると透明なので、この眼被を眼球の表面にある角膜そのものだと思いやすいかもしれません。しかし、眼被と角膜は別の構造です。眼被は皮膚や鱗につながる特殊化した透明な外皮構造で、そのさらに内側に角膜があります。
位置関係は次のようになります。
- レオパ:可動するまぶたの奥に眼球・角膜
- 眼被をもつヤモリ:固定された透明な眼被の奥に眼球・角膜
そのため、「まぶたのないヤモリは角膜がずっと外に出ている」というわけではありません。目の前を覆う方法そのものが、レオパとは違っているのです。
レオパと多くのヤモリでは、目を覆う方法そのものが違う
レオパと眼被をもつヤモリの違いを並べると、目の見え方の差が分かりやすくなります。
| レオパ | 眼被をもつ多くのヤモリ類 | |
|---|---|---|
| 可動するまぶた | ある | ない |
| 目を閉じられるか | まぶたを閉じられる | レオパのような方法では閉じない |
| 目の前面を覆う構造 | 可動する眼瞼 | 透明で固定された眼被 |
| 眼被 | ない | ある |
| 角膜との関係 | まぶたの奥に角膜がある | 眼被のさらに奥に角膜がある |
どちらも「目を外界から隔てる構造をもつ」という点では共通していますが、その方法が異なります。ヤモリが舌で「目を舐めている」ように見える姿も、この構造から考えると少し見え方が変わります。眼被をもつヤモリの場合、舌が外側から触れるのは角膜そのものではなく、目の前を覆っている眼被の表面です。
この行動は清掃のためと説明されることもありますが、その働きを直接確かめた研究は十分ではありません。少なくとも、「眼球を舌で直接舐めている」という理解ではありません。
レオパもヤモリの仲間。ただし「ヤモリ科」ではない
「それなら、レオパはヤモリではないのでは?」という疑問も出てきます。レオパは広い意味ではヤモリ類に含まれますが、分類上のヤモリ科(Gekkonidae)ではなく、トカゲモドキ科(Eublepharidae)に属します。
「ヤモリ類」という大きなまとまりの中に複数の科があり、その中にヤモリ科とトカゲモドキ科がそれぞれ存在する、と考えると分かりやすいでしょう。
ヒョウモントカゲモドキは次のような位置づけになります。
- ヤモリ類(Gekkota):含まれる
- ヤモリ科(Gekkonidae):含まれない
- トカゲモドキ科(Eublepharidae):含まれる
そのため、「レオパはヤモリの仲間ではない」も、「レオパはヤモリ科の一種」も、どちらも正確ではありません。
トカゲモドキ科は、英語で「まぶたのあるヤモリ(eyelid geckos)」と呼ばれることもあります。動かせるまぶたをもつことは、このグループを特徴づける目立った違いのひとつです。
「レオパは原始的だからまぶたがある」と単純には言えない
レオパとほかのヤモリ類を比べると、「昔のヤモリにはまぶたがあり、そこから眼被をもつヤモリへ進化したのでは」と考えたくなるかもしれません。眼被は眼瞼に由来する構造だと考えられる一方、現在の分子系統の観点では、トカゲモドキ科を単純に「ほかのヤモリより原始的なグループ」と並べることはできません。
そのため、レオパのまぶたを「昔の形をそのまま残している」、眼被を「それより進化した形」と一直線に説明するのは避けた方がよいでしょう。同じ広いヤモリ類の中でも、レオパを含むトカゲモドキ科には可動するまぶたがあり、多くのほかのヤモリ類では透明な眼被が目を覆っている、という違いがあります。
まとめ
レオパには、実際に動かして目を閉じられるまぶたがあります。「ヤモリにはまぶたがない」という説明を、すべてのヤモリ類に当てはめることはできません。
多くのヤモリ類では、可動するまぶたの代わりに、スペクタクルと呼ばれる透明な眼被が目の前を常に覆っています。この眼被は角膜そのものではなく、角膜より外側にある別の構造です。
レオパも広い意味ではヤモリの仲間ですが、ヤモリ科ではなくトカゲモドキ科に属します。同じ「ヤモリ」と呼ばれる仲間でも、目を覆うしくみまで同じとは限りません。
レオパが目を閉じる姿と、目を開けたままに見えるほかのヤモリ。その違いは、それぞれがもつ目の構造を知ると、自然な違いとして捉えられます。




