なでようと手を伸ばしたら、うさぎが急に顔を引いた。目の前にいるのに、手に気づいていなかったのでしょうか。そんなとき、目がついている位置を知ると、接し方を考えるヒントになります。
うさぎの視野はほぼ360度に及びますが、鼻先のすぐ前などには死角があります。 広い範囲を見渡せることと、近くに来た手を見て確かめられることは別です。体のつくりを知り、人に気づいてから触れ合える時間をつくってみましょう。
頭の左右にある目で、周囲を広く見渡せる
うさぎの大きな目は、頭の左右に張り出すようについています。この位置のおかげで、前だけでなく横や後方まで広い範囲が視野に入り、周囲の危険に気づきやすくなっています。
視野の広さの目安は、ほぼ360度です。一周に近い範囲を見渡せる一方、どの場所にも死角がないという意味ではありません。
また、「視野」は見える範囲の広さを表す言葉です。物の細部がどれほどはっきり見えるか、近くの物へピントを合わせられるかとは分けて考えます。うさぎは目のピントを調節する働きが弱く、広い視野があっても、近くの物を人と同じように見ているわけではありません。
鼻先のすぐ前や、あごの下には死角がある
左右に離れた目では、鼻先のすぐ前やあごの下に、視線が届かない小さな範囲ができます。これが、近くで接するときに意識したい死角です。人からは「顔の正面に手を見せている」つもりでも、鼻先ぎりぎりの位置では、その手が見えているとは限りません。
ここでいう鼻先の死角は、前方全体が見えないという意味ではありません。 離れたところにいる人と、鼻に触れそうなところまで来た指は、同じ「正面」でも条件が違います。
そのため、手に気づいてもらおうとして、さらに鼻へ近づける必要はありません。鼻先へ指を突き出したり、あごの下へ急に手を入れたりする前に、一度動きを止め、うさぎがこちらを確かめる時間をとります。
近づくときは、低い姿勢で存在を知らせる
人が近づくときは、まず床に座るなどして低い姿勢になり、静かな声をかけます。大きな声で呼ぶ必要はなく、ゆっくり動きながら、人がそこにいることに気づいてもらうのが出発点です。
見え方を踏まえた工夫としては、鼻先の真正面へ手を直進させるより、少し横にずれた位置で手を止めて待つ方法が考えられます。斜め前など、うさぎが顔を向けたり、自分から近づいたりできる位置を選びましょう。「この角度なら必ず安心」という決まりではなく、その子の反応に合わせて距離を調整するための工夫です。
立ったまま覆いかぶさり、上から急に手を下ろす動作も避けます。見える範囲から近づいたとしても、急な動きや接触は驚くきっかけになります。
迎えたばかりなら、触れずにそばで過ごす段階から始めて構いません。初日の距離のとり方は、次の記事でも紹介しています。
手を差し出したら、触れる前に反応を待つ
手を出すところから、なでるところまでを一続きの動作にしないことがポイントです。たとえば、次のように区切ると、うさぎの反応を見ながら接しやすくなります。
- 床に座り、静かに声をかけてからゆっくり手を動かす。
- 鼻先に押しつけず、少し横にずらした位置で手を止める。
- うさぎが自分から近づいて確かめるのを待つ。
- 近くに来て落ち着いているときに、そっとなでる。顔を引く、離れる様子があれば手を止める。
うさぎが離れたら、手で追いかけて触ろうとせず、そのまま距離をとれるようにします。隠れた場合も、触れ合いのために引き出す必要はありません。人に気づいたことと、触られたいことは同じではないので、その日は近くで過ごすだけでもよいのです。
驚く、逃げる、接触を嫌がるといった反応を、死角だけで説明しないことも大切です。人との過去の経験や、病気・けがによる不快感が関わることもあります。以前は平気だった接触を急に嫌がるなど、普段との違いが気になるときは、うさぎを診療する動物病院へ相談しましょう。
まとめ|見える位置と、待つ時間を一緒に考える
うさぎは頭の左右にある目で広く周囲を見渡せますが、鼻先のすぐ前やあごの下には死角があります。近くにいるほど手がよく見える、とは限りません。
近づくときは低い姿勢で静かに声をかけ、鼻先へ急に手を差し込まず、少し横で止めて待つ。位置だけでなく、うさぎが自分から確かめたり離れたりできる時間をつくることが、日々の触れ合いの助けになります。






