犬や猫に関わるアレルギーという言葉を聞くと、「ペットの毛でアレルギーが出る」というイメージを持つ人が多いかもしれません。
一方で、犬や猫自身も皮膚のかゆみなどをきっかけに「アレルギーかもしれない」と言われることがあります。
同じ「アレルギー」という言葉でも、人が動物に反応するものと動物自身に起こるものでは、仕組みや症状が異なります。
まずはその違いを押さえながら、
- 何が原因で起こるのか
- どんな症状として現れるのか
- 生活の中でどこまで対策できるのか
を順番に見ていきます。
動物に関わるアレルギーには2つのタイプがある
動物と暮らす家庭で関係するアレルギーは、大きく分けて次の2つです。
- 人が動物に反応するアレルギー
- 犬や猫自身に起こるアレルギー
同じ言葉で呼ばれるため混同されやすいですが、原因や症状、対処の考え方はそれぞれ異なります。
人のアレルギー
人が犬や猫に触れたときに、次のような症状が出ることがあります。
- 鼻水やくしゃみ
- 目のかゆみ
- 皮膚の赤み
- 喘息症状
厚生労働省のアレルギー情報でも、動物由来のアレルゲンによって鼻炎や喘息が起こることがあると紹介されています。
動物のアレルギー
一方、犬や猫自身にもアレルギーがあります。
よく見られる症状としては、
- 皮膚の強いかゆみ
- 耳の炎症(外耳炎)
- 皮膚の赤みや湿疹
などがあります。
人の場合は呼吸器や目の症状が目立つのに対し、犬や猫では皮膚症状として現れることが多いという違いがあります。
人の動物アレルギーは何が原因で起こるのか
「ペットの毛でアレルギーが出る」と言われることがありますが、実際には毛そのものが原因とは限りません。
毛ではなく体表タンパク質が主な原因
多くの場合、アレルギーの原因になるのは次のような物質です。
- フケ(皮膚の細かいかけら)
- 唾液
- 尿
- 皮脂
これらに含まれる タンパク質(アレルゲン) が体内の免疫反応を引き起こすと考えられています。
猫では「Fel d 1」と呼ばれるタンパク質が代表的なアレルゲンとして知られています。この物質は主に皮脂腺や唾液に含まれ、毛づくろいの際に体表へ広がります。
そのため、毛そのものというより、体表に付着したタンパク質が原因になることが多いとされています。
犬と猫で異なる代表アレルゲン
犬と猫では、知られている主要アレルゲンも異なります。
猫ではFel d 1がよく知られていますが、犬の場合は複数のアレルゲンが関係すると考えられています。この違いによって、犬アレルギーと猫アレルギーでは症状の出方や強さが異なることがあります。
室内に広がるアレルゲンの特徴
動物由来のアレルゲンには、次のような特徴があります。
- 空気中に浮遊する
- 衣類や家具に付着する
- 室内に長く残る
そのため、動物と直接触れていない場合でも、室内環境を通してアレルゲンに触れることがあります。
犬や猫に多いアレルギーの種類
犬や猫のアレルギーは、主に次のような種類に分けられます。
| 種類 | 主な原因 | よく見られる症状 |
|---|---|---|
| 環境アレルギー(アトピー) | ダニ・花粉・カビなど | 皮膚のかゆみ、耳や足先をかく |
| 食物アレルギー | 食事中のタンパク質 | 皮膚症状、下痢、嘔吐 |
| ノミアレルギー | ノミの唾液 | 腰や尾の付け根を強くかく |
それぞれ原因や症状の現れ方に違いがあります。
環境アレルギー(アトピー)
環境中のアレルゲンに反応して起こる皮膚炎です。
原因としては、
- ダニ
- 花粉
- カビ
などが関係することがあります。
症状としては、
- 足先
- 耳
- 顔周り
- 脇や腹部
などを頻繁にかく様子が見られることがあります。
食物アレルギー
食事に含まれる特定のタンパク質に反応して起こるアレルギーです。
皮膚症状のほか、
- 下痢
- 嘔吐
といった消化器症状が見られることもあります。
原因を特定するために、一定期間特定の食事だけを与えて症状の変化を見る除去食試験が行われることがあります。
ノミアレルギー
ノミの唾液に対するアレルギー反応によって起こります。
特徴としては、
- 腰のあたり
- 尾の付け根
などを強くかく様子が見られることがあります。
そのため、ノミ対策は皮膚トラブルの予防としても重要とされています。
アレルギーの検査と診断の考え方
アレルギーは「検査だけで確定するもの」と思われがちですが、実際には複数の情報を合わせて判断されることが多いです。
人の検査
人の場合、代表的な検査には次のようなものがあります。
- 血液検査(IgE抗体)
- 皮膚テスト
これらの検査によって、どの物質に反応しやすいかの目安を知ることができます。
動物の検査
犬や猫では、次のような方法が使われることがあります。
- 血液検査
- 皮内テスト
- 除去食試験
特に食物アレルギーの場合、一定期間食事内容を限定して症状の変化を見る方法が取られることがあります。
検査だけでは判断できない理由
アレルギーの診断では、
- 検査結果
- 症状の出方
- 生活環境
などを合わせて考えることが一般的です。
検査結果だけで判断できるとは限らないため、症状の経過や生活環境の情報も重要になります。
日常生活でできるアレルギー管理
動物に関わるアレルギーは、完全に防ぐことより、症状を管理することを目標にする場合が多くあります。
人のアレルギー対策
日常生活では、次のような工夫が行われることがあります。
- 室内をこまめに掃除する
- 空気環境を整える
- 寝室など接触環境を工夫する
環境中のアレルゲン量を減らすことで、症状が軽くなる場合があります。
動物のアレルギー対策
犬や猫の場合は、
- 食事管理
- ノミ対策
- 生活環境の見直し
などが基本になります。
皮膚トラブルが続く場合には、獣医師と相談しながら原因を探していくことが一般的です。
動物に関わるアレルギーは、「人」と「動物」で仕組みや症状が異なります。また、原因を完全に取り除くことが難しい場合もあります。
まずは原因や症状の特徴を理解し、生活の中でどこまで調整できるかを落ち着いて考えていくことが大切になります。






