犬の足を拭いたり撫でたりしていると、内側の少し高い場所に爪があることに気づきます。地面に届いていないように見えて、「何のためにあるのだろう」「ここも爪切りが必要?」と迷うかもしれません。
この爪は「狼爪(ろうそう)」と呼ばれます。前足では動きを支える指の一部であり、普段は地面に触れにくくても手入れが必要です。前足と後ろ足の違いを知ると、愛犬のどこを確認すればよいかが見えてきます。
狼爪は、足の内側にある指とその爪
前足の狼爪は、地面につく4本の指より少し上、体の中心に向いた側にあります。爪だけが皮膚から生えているように見えますが、前足の「第1指」に当たる指と、その先の爪です。
犬の指と爪は、通常は前足に5本ずつ、後ろ足に4本ずつあります。前足の5本のうち、ほかの4本から離れた位置にあるのが狼爪です。被毛に隠れることもあるので、足先を正面から見るだけでは見落とす場合があります。
前足と後ろ足では、数や付き方が違う
前足の狼爪は、通常は左右に1つずつあり、骨や靱帯で足につながっています。筋肉につながる腱もあり、指として動く構造を備えています。
一方、後ろ足の狼爪は、ある犬とない犬がいます。1つだけでなく、片足に2つある「二重狼爪」を持つ犬もおり、グレート・ピレニーズなどでは犬種の特徴として知られています。
| 確認する場所 | 狼爪の特徴 | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| 前足 | 通常は左右に1つずつ。骨・靱帯・腱につながる | 地面につく4本とは別に、内側の高い位置を確認する |
| 後ろ足 | 有無や数が異なり、前足のような腱のつながりを持たないものが多い | ある場合は1本で確認を終えず、ほかにも爪がないか見る |
後ろ足では皮膚で緩くつながっているものもあり、前足と同じ付き方とは限りません。動くかどうかを調べるために引っ張らず、構造が分かりにくければ診察のときに確認してもらいましょう。
また、前足に狼爪が見当たらない犬には、過去に除去された犬もいます。本数だけで異常と決めず、その犬の元からの状態と、あとから起きた変化を分けて見ることが大切です。
前足の狼爪は、動くときや物を押さえるときに働く
立っているときに地面に触れない前足の狼爪も、走ったり跳んだりするときには接地することがあります。方向を変える際に地面を捉え、前足や手首に当たる関節を安定させる助けになります。
前足でおもちゃを抱えて押さえるときにも、狼爪が補助として働くことがあります。普段の立ち姿だけでは分かりにくいものの、動作の中で使われる指です。
ただし、この前足の働きを、そのまますべての後ろ足の狼爪に当てはめることはできません。後ろ足では付き方が異なるため、前後をひとまとめにして役割を決めないようにしましょう。
手入れでは、内側の爪先まで確認する
狼爪は普段の歩行で地面とこすれにくく、ほかの爪と同じようには削れません。毎日散歩している犬でも伸びるため、床を歩く音や地面につく爪だけを目安にすると、手入れの時期を逃すことがあります。
長さだけでなく、曲がる向きと周囲を見る
犬が落ち着いているときに足を無理のない姿勢で支え、被毛に隠れた内側まで確認します。後ろ足にも狼爪がある犬では、その爪も含めて次の点を見てください。
- 爪先が伸び、皮膚や肉球へ向かって巻き込んでいないか
- 爪先が皮膚に触れたり、食い込んだりしていないか
- 寝具やカーペットに爪が引っかかることが増えていないか
- 爪に割れ・欠け・出血がないか
- その場所を繰り返し舐める、触られると痛がる変化がないか
狼爪が伸びすぎると、引っかかって裂けたり、曲がった爪先が周囲に食い込んだりすることがあります。引っかかりを確かめるために布へ掛けたり、爪を強く動かしたりせず、見える状態と普段の様子から確認します。
切る範囲が分からないときは、無理に進めない
狼爪にも、血管と神経が通る部分があります。伸びているからといって根元近くまで一度に切らず、傷つけない範囲で先端から少しずつ整えるのが基本です。
黒い爪で内部が見えない、毛や爪の曲がりで切る位置が分からない、犬が嫌がって足を引くときは中断します。動物病院でその犬の狼爪の位置と切れる範囲を見せてもらうか、爪切りを依頼してかまいません。
切り方や足を触られることへの慣らし方は、次の記事で詳しく扱っています。
痛みや出血、食い込みがあれば動物病院へ
爪が皮膚や肉球に食い込んでいる、裂けてぶら下がっている、出血している、強く痛がる場合は、普段の爪切りとして処置を進めず、動物病院へ連絡してください。足を浮かせる、かばって歩くといった変化も、診てもらう目安です。
出血があれば、安全に触れられる範囲で清潔なガーゼや布を当てて圧迫します。裂けた爪を引き抜いたり、付け根から切り落としたりしないでください。圧迫しても出血が続く場合や痛みが強い場合は、速やかに受診します。
狼爪を残すか除去するかは、本数だけでは決まりません。緩く付いていて裂けるおそれがある、傷んで治療が必要といった場合には、獣医師が付き方やけがの状態を見て判断します。日常の爪先の手入れと、指を含む狼爪の除去は別の処置です。
まとめ
前足の狼爪は、骨や腱につながり、動くときや物を押さえるときに働く指です。後ろ足では有無や数、付き方が異なるので、愛犬の4本の足それぞれに、どこまで爪があるかを知っておきましょう。
日々の確認では、地面につく爪に加えて、内側の爪先と周囲まで見ます。伸びや巻き込み、引っかかりを早めに見つけ、痛み・出血・食い込みがあるときは、自宅で切ろうとせず動物病院へつなげてください。





