家では「おいで」で戻ってくるのに、外ではにおい嗅ぎに夢中になる。何度も呼ぶうちに、声が大きくなってしまうこともあるかもしれません。
呼び戻しは、犬がしていることをやめて飼い主のそばへ戻る練習です。まずは静かな室内で「戻るとよいことがある」と覚え、距離や周囲の刺激を少しずつ増やしていきます。うまく戻れないときは、今の条件を見直すところから始めましょう。
まずは室内で、近くから「おいで」を教える
練習場所は、犬が落ち着ける静かな部屋にします。使う合図は「おいで」など一つに決め、家族でもそろえておくと教えやすくなります。
ごほうびには、犬が喜んで食べるものや好きなおもちゃを用意します。飼い主がよいと思うものより、その犬が戻りたくなるものを選ぶことが大切です。
名前でこちらを見る練習をする
名前を呼んでもこちらを見ない場合は、近くで名前を呼び、顔を向けたらすぐに褒めてごほうびを渡します。まず「名前を聞いたら飼い主に注目する」というやり取りを作りましょう。
名前への反応と、そばまで戻る行動は分けて教えられます。振り向けるようになったら、次の手順で「おいで」を加えます。
そばまで来たら、すぐに報酬を渡す
最初は、犬が数歩で来られる距離で十分です。ほかのことに夢中になっていない、こちらへ来やすいときを選びます。
- 名前を呼んで注意を向け、「おいで」と一度、明るく声をかけます。
- 必要なら少しかがむ、数歩後ろへ下がるなどして近づくきっかけを作ります。
- 犬がそばまで来たら、その場ですぐに褒め、ごほうびを渡します。
- 少し遊ぶなどしてから、短い練習を繰り返します。
一度に長く続けるより、短い練習を日常の中に分けて取り入れましょう。最後はできる距離で成功して終えると、無理なく続けられます。
距離・場所・刺激を少しずつ変える
同じ部屋の近距離で戻れるようになったら、少し離れて呼んでみます。次の段階へ進む目安は、何日練習したかではなく、今の条件で、呼ぶと無理なくそばまで戻ってくることです。
距離を延ばした日に、場所も周囲の刺激も一度に変えると、何が難しかったのか分かりにくくなります。次の表を例に、変える条件を一つずつ選んでみてください。
| 段階 | 試すこと | 難しそうなときの戻し方 |
|---|---|---|
| 同じ部屋 | 犬との距離を少し延ばす | 数歩で来られる距離に戻す |
| 別の部屋 | 慣れた別室でも近くから呼ぶ | 最初にできた部屋で練習する |
| 小さな刺激がある室内 | 家族が静かに動く場面で、近くから呼ぶ | 家族に動きを止めてもらう |
| 静かな屋外 | リードをつけ、短い距離からやり直す | 刺激から離れるか、室内へ戻る |
室内に刺激を加えるなら、家族の協力が役立ちます。たとえば家族と遊んでいる犬を呼ぶ練習では、初めは家族に遊びを止めてもらってから呼び、戻った先でも楽しいことが起こるようにします。
屋外には、室内にはないにおいや音があります。家でできても同じように戻れるとは限らないため、最初は他の犬と遊んでいる最中や、強くにおいに集中しているときを避けて呼びましょう。場所が変わったら近距離から始め直して構いません。
呼んでも戻らないときに見直すこと
反応がないまま「おいで、おいで」と繰り返すより、戻れる条件に変えます。リードをつけた練習なら、たるみを回収しながら飼い主が近づき、犬の注意がこちらへ向く距離に戻しましょう。
| 犬の様子・場面 | 見直すこと |
|---|---|
| 静かな部屋でも反応しにくい | 合図の意味を覚えているか、ごほうびを喜んでいるかを確認し、近距離から教え直す |
| 外や他の犬の近くで戻らない | 刺激から離れ、周囲が静かな場所で練習する |
| 戻った後、手を伸ばすと離れる | 首輪やハーネスをそっと持つことと、ごほうびを組み合わせて慣らす |
| 散歩の終わりだけ戻りにくい | 散歩の途中にも呼び、ごほうびの後にまた散歩を続ける |
遅れて戻ったときも叱らず、戻れたことを褒めます。戻った直後に叱られたり、毎回楽しい時間が終わったりすると、飼い主のそばへ来ることをためらう原因になります。
首輪やハーネスに触れる練習も、近くに戻れるようになってから穏やかに行います。いきなりつかまえず、そっと触れてごほうびを渡す経験を重ね、リードをつける場面につなげましょう。
怖がっているときや、急に行動が変わったとき
他の犬を見て激しく吠える、逃げようとする、体を低くして震えるといった様子なら、まず相手や音から離れて落ち着ける場所へ移ります。怖さの強い場面で、呼び戻しだけを繰り返して練習を進めようとしないことが大切です。
以前と違って急に動きたがらなくなったり、触られるのを嫌がったりする場合は、痛みや体調も含めて動物病院へ相談してください。練習の難しさを下げても進まないときは、報酬を使って教えるトレーナーに、距離や刺激の調整を一緒に見てもらう方法もあります。
屋外ではリードを使って安全を確保する
屋外の練習は通常のリードで近距離から始め、距離を取る段階でロングリードを検討します。長く出せるからといって、最初から全長を使う必要はありません。道路沿いや人が行き交う狭い場所では距離を延ばさず、周囲に十分な空間がある場所を選びます。
呼び戻しが上達しても、必ず戻るとは限りません。地域や施設の利用ルールに従い、リードを外してよい場所か、囲いや出入口から逃げ出せないかを別に確認します。呼び戻しの練習と、事故を防ぐリードの管理は一緒に続けるものです。
ロングリードは長さとたるみを管理する
ここでいうロングリードは、巻き取り式の伸縮リードとは異なる、固定長の長いリードです。犬の体格に合う重さや強度と、飼い主が扱いやすい持ち心地を確かめます。
犬用 丸ロープ ロングリード(3m・5m・10m・20m)
- 長さは3m・5m・10m・20mの4種類から選択可能
- 絡まりにくさに配慮した丸型ロープを採用
- 速乾性があり、散歩やトレーニングに使える
使うときは、次の点を確認しましょう。
- 首輪ではなく、体に合ったハーネスにつける。前後に取付部がある場合は、脚への絡まりを減らすため背中側を使う。
- 結び目やねじれをほどき、両手で扱う。片手で犬側のたるみを調整し、もう片方で余った部分をゆるい輪にまとめて持つ。
- 必要な長さだけ出し、人や犬の脚、木や遊具に絡まないかを見続ける。
- 勢いよく端まで走って急停止する状況を作らない。扱いきれないときは距離を短くし、練習場所も見直す。
戻らない犬をリードで引き寄せて、呼び戻しを教えようとはしません。飼い主が近づいて距離を短くし、犬が自分からこちらへ動ける距離で教え直します。
普段の散歩でも引っ張りが強い場合は、歩く環境や装備の見直しも役立ちます。
戻りやすいところから、成功を重ねる
「おいで」の練習は、静かな室内の短い距離から始め、戻ったらすぐによいことが起こる経験を重ねます。距離や場所、周囲の刺激が変わって戻りにくくなったら、できていた条件へ戻りましょう。
戻るのが遅くても叱らず、散歩や遊びの途中にも呼んで褒めること。その積み重ねを、屋外でのリード管理と組み合わせて続けていきましょう。





