引越しが決まると、転出届や転入届など、人の住所変更手続きに意識が向きやすくなります。そのとき、「犬や猫についても役所の手続きが必要なのだろうか」と迷うことがあります。
犬を飼っている場合は、自治体への登録制度があると聞いたことがあるかもしれません。一方で、最近はマイクロチップの登録制度も広く知られるようになり、「どちらを変更すればよいのか」と混乱することもあります。
実際には、日本では動物の種類や制度によって必要な手続きが異なります。引越しのときに確認したいのは、主に次の2つです。
それぞれの制度の役割を知っておくと、引越し時の手続きも落ち着いて進めやすくなります。
日本では、すべてのペットに同じ登録制度があるわけではありません。まずは、引越しと関係する制度の全体像を見ておきます。
日本で一般的に関係する制度は、次の3つに分けて考えると理解しやすくなります。
犬については、狂犬病予防法に基づき、市区町村への登録が義務づけられています。この登録は犬を飼い始めたときだけでなく、住所が変わった場合にも変更手続きが必要になることがあります。
一方で、犬や猫に装着されるマイクロチップには別の登録制度があります。こちらは環境省のデータベースで管理されており、飼い主の住所などを登録・変更できる仕組みです。
この制度は、動物の個体識別や迷子対策を目的としています。自治体の畜犬登録とは役割が異なります。
また、猫については犬のような全国共通の行政登録制度は設けられていません。そのため、引越し時に役所で必ず行う手続きがあるわけではありません。
この違いを理解しておくと、引越し時の手続きが見通しやすくなります。
犬を飼っている場合、引越し時に関係するのが「犬の登録制度」です。これは狂犬病予防法に基づき、市区町村が管理している制度です。
犬を飼い始めた場合、飼い主は市区町村に登録を行い、鑑札(かんさつ)が交付されます。また、狂犬病予防注射を受けた際には注射済票が発行されます。
この制度は狂犬病対策を目的としており、犬の所在や飼い主を把握するためのものです。
制度の概要は、厚生労働省の説明でも確認できます。
引越しによって住所が変わった場合、畜犬登録の情報も変更が必要になります。多くの場合は、新しく住む自治体で手続きを行います。
一般的な流れは次のようになります。
手続き方法は自治体によって多少の違いがありますが、多くの場合は市区町村の窓口での手続きになります。
自治体によってはオンライン申請や郵送に対応している場合もあります。具体的な方法は、引越し先の自治体の案内を確認すると安心です。
引越しのとき、「鑑札を作り直す必要があるのか」と迷うことがあります。
実際には、鑑札や注射済票の扱いは自治体の運用によって異なる場合があります。そのため、引越し先の自治体で登録変更を行う際に、あわせて確認することになります。
多くの場合は、現在の鑑札を提示して登録情報を更新する流れになります。
犬や猫にマイクロチップを装着している場合は、マイクロチップ登録情報の変更も確認しておきたいポイントです。
日本では、マイクロチップの登録情報は環境省のデータベースで管理されています。
この制度では、
などが登録されています。
制度の詳細は、環境省の案内でも確認できます。
住所が変わった場合は、マイクロチップの登録情報も変更することが推奨されています。登録情報の変更は、環境省の登録サイトからオンラインで行える仕組みになっています。
畜犬登録とは異なり、こちらは国のデータベース上の情報更新です。そのため、自治体窓口ではなく登録サイトから手続きを行うケースが一般的です。
ここで混同されやすいのが、畜犬登録との関係です。
畜犬登録
市区町村が管理する制度
マイクロチップ登録
環境省のデータベースで管理
役割も管理主体も異なる制度です。マイクロチップを装着していても、畜犬登録が不要になるわけではありません。
この違いを理解しておくと、引越し時にどの手続きを確認すればよいのかが分かりやすくなります。
ここまでの内容を踏まえると、引越し時に確認しておきたい手続きは次のようになります。
| 手続き | 対象動物 | 管轄 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 畜犬登録の住所変更 | 犬 | 市区町村 | 畜犬登録情報を新住所に変更 |
| マイクロチップ登録変更 | 犬・猫 | 環境省 | 登録情報(住所など)の更新 |
犬の場合は、自治体手続きとマイクロチップ登録の両方を確認することがあります。猫の場合は、行政手続きが必要になるケースは多くありません。
引越し時の流れは、次のように整理できます。
引越し後
多くの場合、引越し後にまとめて確認する形になります。制度を理解しておくと、引越しの忙しい時期でも落ち着いて対応しやすくなります。
引越し時の手続きで混乱しやすいのは、制度の違いです。
特に次の点は誤解されやすいところです。
制度の役割を分けて考えると、必要な手続きも整理しやすくなります。
引越しのときに関係するペットの手続きは、思っているほど多くはありません。
ポイントになるのは、主に次の2つです。
そして、畜犬登録とマイクロチップ登録は目的も管理主体も異なる制度です。
制度の違いが分かっていると、引越し時の手続きも落ち着いて判断しやすくなります。忙しい引越しの時期でも、必要な手続きを一つずつ確認していくことが安心につながります。