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オランダのペットのポジティブリストとは?飼育できる哺乳類を決める理由
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オランダのペットのポジティブリストとは?飼育できる哺乳類を決める理由

ペットを迎える前には、その動物に合う食事や住まいを用意できるか、世話を続けられるかを考えます。オランダでは、こうした飼育の難しさや動物の健康・福祉、人への危険を踏まえ、国が飼育を認める動物の種類をあらかじめ定めています。

その仕組みが、2024年7月に始まった「ポジティブリスト(ホワイトリスト)」です。対象は哺乳類で、原則として、飼育を認める種類の一覧に載っている動物を飼うことができます。犬や猫、うさぎ、モルモットなどが含まれる一方、チンチラやジャンガリアンハムスターは含まれません。

身近な小動物の間でも、なぜ扱いが分かれるのでしょうか。また、一覧に載らない動物をすでに飼っている人は、そのまま世話を続けられるのでしょうか。飼育を認める種類の選び方と、すでに飼われている動物への対応から、オランダの制度を見ていきます。

飼育できる哺乳類を、あらかじめ指定する制度

オランダの制度は「家庭・趣味飼育動物リスト(huis- en hobbydierenlijst)」と呼ばれ、2024年7月1日に施行されました。飼育を認める種類を列挙する、いわゆる「ポジティブリスト」の仕組みです。原則として、リストに載る種類の哺乳類を飼育でき、載らない種類は飼育できません。 ただし、以前から飼われている個体や動物園などには例外があります。

リストに載っているのは30種です。家庭のペットだけに限定した一覧ではなく、馬や牛なども含むため、「室内で飼いやすいペット30選」という意味ではありません。また、掲載されていても、その動物の飼育や繁殖に関する別の規制は守る必要があります。

対象は哺乳類で、鳥や爬虫類を含む全ペットの一覧ではない

このリストの対象は哺乳類です。鳥、魚、爬虫類、両生類などについては、同じ仕組みのリストはまだ設けられていません。

そのため、「鳥が一覧にないから飼育禁止」とは読みません。一方で、保護対象の動物や侵略的外来種には別の法律による制限があります。このリストに関係するかどうかと、その動物を合法的に飼育できるかどうかは、分けて確かめる必要があります。

評価の出発点は、動物に必要な暮らし

制度の背景には、動物の健康や福祉を守り、人への危険も抑えようという考え方があります。食事や住まいの条件が複雑な動物もいれば、人に深刻なけがをさせるおそれがある動物もいます。家庭で世話をする際に、どのような負担や危険が重なるかを、種類ごとに評価しています。

リストの策定にあたり、独立した科学者による委員会は、300種を超える哺乳類を科学的な資料に基づいて評価しました。評価には、次のような観点が使われます。

評価の観点確かめる内容
人へのけが人に深刻なけがを負わせる危険
人の健康動物から人に感染する病気のリスク
食物の取り方食事に関わる体の特徴や、餌を探して食べる行動
空間の使い方と安全動き回る範囲、隠れ場所、逃げる行動などに必要な環境
体温の調節本来の生息環境に適応した体と、飼育下で必要になる気候条件
社会的な行動仲間との関係や群れの構造、繁殖に関わる特徴

ここで出発点になるのは、動物の特性や必要な環境です。「自分なら上手に飼える」という飼い主一人ひとりの自信を審査する仕組みではありません。人を傷つけるかだけでなく、動物自身が健康に暮らし、その種類に必要な行動をできるかも評価に含めている点が特徴です。

家畜化の歴史も考慮する

評価では、リスクをAからFまでの段階に分け、原則としてA・B・Cに分類された種類をリストに載せます。一方、家畜化された動物については、人との暮らしへの適応や、蓄積された飼育の知識・設備などを考慮し、D以上でも掲載する場合があります。

家畜化とは、世代を重ねる中で集団の遺伝的な特徴が変わり、人がつくる環境で暮らすことに適応してきた過程です。委員会の評価でも、目の前の一匹が人に慣れることとは区別しています。

つまり、評価は単純な危険度の順位でも、人気の順位でもありません。動物の性質に加え、人がその動物を飼ってきた経験や、必要な世話を支える条件をどう扱うかも、リストを決める判断に関わっています。

身近な小動物でも、掲載の有無は分かれる

オランダの一覧には、犬、猫、家畜化されたうさぎ、モルモット、フェレットなどが載っています。ハムスターでは、家畜化されたゴールデンハムスターやチャイニーズハムスターが含まれます。

一方、チンチラやジャンガリアンハムスターは掲載されていません。ジャンガリアンハムスターは、オランダの評価ページでは「ロシアンドワーフハムスター」という名前で、学名をPhodopus sungorusとして扱っています。「ハムスター」という大きなくくりだけで、掲載の有無を判断することはできません。

チンチラについて、オランダの行政は、食事、空間と安全、体温調節、社会的な行動という4つの領域に、健康や福祉に関わるリスクを認めています。人への深刻なけがの危険ではなく、必要な隠れ場所や砂浴び、仲間との関係など、世話をする際に満たすべき条件が重なることを評価しています。

これは、個々のチンチラの飼い主が適切に世話をしているかを判定した結果ではありません。オランダの制度が、種類全体の特性をもとに、飼育を認める範囲を決めたものです。

反対に、リストに載っていることも、世話が簡単であることや、どんな家庭でも飼えることの保証にはなりません。 飼育が認められる種類でも、食事や住まい、行動に合う環境を整える責任は続きます。法的に迎えられるかを確かめた後に、自分の生活で必要な世話を続けられるかを考えることになります。

すでに飼われている動物には、経過措置がある

リストに載らない種類を飼っている人が、制度の開始と同時に、その動物を手放さなければならないわけではありません。2024年7月1日の施行時にすでに飼育されていた個体は、条件を満たせば、生涯にわたって飼い続けられます。

中心となる条件は、施行前から飼われていたことを示せることと、新たに繁殖しないよう措置を取ることです。

確認すること経過措置で求められる対応
施行前から飼われていた個体か購入証明、個体識別情報、動物のパスポート、獣医療の請求書などで、その個体と飼育時期を示す
繁殖を防いでいるかオスとメスを分けるなど、その動物に合う措置を取る
別の人へ譲る場合はどうするか条件を満たす個体は売却・譲渡できる。証明も次の飼い主へ渡し、繁殖を防ぐ条件を引き継ぐ

繁殖防止の方法としては避妊・去勢もありますが、一律に手術を求める制度ではありません。動物の状態に合う方法を選び、迷う場合は獣医師に相談するよう、行政は案内しています。

また、施行時にすでに妊娠していた動物から生まれる子にも経過措置があります。その場合も、母親が施行時に飼育され、妊娠していたことを示し、その後の繁殖を防ぐ条件を守る必要があります。

新たな飼育の広がりを制限しながら、すでに人のもとで暮らしている個体の世話は続けられるようにする。この両方を考えると、ポジティブリストは、単に動物を「飼ってよい・いけない」に分けるだけの制度ではないことが分かります。

リストを入口に、飼い方まで考える

リストは、科学的な知見に応じて見直すことができる仕組みです。利害関係を持つ人は、未評価の種類の評価や、すでに評価された種類の再評価を申請できます。再評価には、判断を見直す根拠となる科学的な資料が必要です。

実際に、掲載の可否をめぐって争われた種類もあります。2026年9月のオランダ企業庁(RVO)の案内では、チンチラやジャンガリアンハムスターなどの追加を検討したものの、追加しない決定となり、リストは30種のままとしています。制度を読む際には、導入当初の一覧だけでなく、その後の判断にも目を向けたいところです。

この制度の狙いは、動物の特性から飼育の難しさや危険を見て、迎えられる種類をあらかじめ定めることです。制度があることと、動物の健康問題や不適切な飼育が実際にどれだけ減ったかは、別の問いになります。成果を考えるには、飼育現場の状態や、決まりがどう守られているかも見る必要があります。

ここで紹介した飼育制限はオランダの制度です。日本で暮らす私たちにも、その動物の性質から必要な暮らしを考える視点は役立ちます。迎える前なら、隠れる・動く・餌を探すといった行動のために何が必要か、温度環境や仲間との関係まで自分の家で支えられるかを確かめる。すでに一緒に暮らしているなら、今の環境で満たしにくい条件がないかを見直すことにつながります。

動物の健康や快適さ、行動から暮らしを見る考え方は、次の記事でも紹介しています。

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オランダのリストが投げかけるのは、「迎えたい」という気持ちに、その動物が必要とする暮らしをどう重ねるかという問いです。飼育できる種類を確かめることと、迎えた個体の世話を続けること。その両方から、人と動物の関係を考えるきっかけになります。

この記事で参考にした資料(7件)

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