セキセイインコには、青い体の子も、緑の体の子もいます。よく似た羽なのに色が違うのは、羽の中に入っている色素の違いだけなのでしょうか。
青い羽色のもとになるのは、羽の内部の微細な構造が光を返すしくみです。 緑の羽では、そこに黄色い色素による光の吸収が加わります。色をつくる二つの働きから、青と緑の違いを見ていきましょう。
青と緑の違いは、光を返す構造と黄色い色素
羽に光が当たったとき、どの色の光が目に届くかによって、私たちに見える羽色が変わります。セキセイインコの体羽では、色素と羽の細かな構造がそれぞれ次のように働きます。
| 色を生む要素 | 光に対する働き | 羽色との関係 |
|---|---|---|
| 羽の内部の微細な構造 | 特定の波長の光を強く返す | 青い羽色のもとになる |
| 黄色い色素 | 青付近の波長の光を吸収する | 構造と組み合わさり、緑に見えることに関わる |
| 内部の黒褐色の色素・メラニン | 色を白っぽく見せる散乱光を吸収する | 構造色の鮮やかさを支える |
構造が光と相互作用して生む色を「構造色」と呼びます。青と緑の基本的な違いは、構造が生む色に、黄色い色素の働きが加わるかどうかです。ただし、実際の色合いには構造自体の違いも関わります。
青い色は、羽の中の細かな構造が生む
羽の軸から左右に伸びる細い枝を「羽枝(うし)」といいます。セキセイインコの青い羽では、この羽枝の内部に、ケラチンというたんぱく質と空気が入り組んだスポンジ状の層があります。その構造は、光の波長に近いほど細かな大きさです。
光がこの層に入ると、ケラチンと空気の境目で散乱します。散乱した光の波が重なり合い、ある波長の光を強め合うことで、青い色が目に届きます。青の発色を担うのは、このような光の干渉を生む構造です。
さらに内側にあるメラニンの層は、構造色を白っぽく薄めてしまう散乱光を吸収し、青を鮮やかに見せる助けになります。メラニン自体が青い色をしているわけではなく、光を吸収する側として発色に関わります。
黄色い色素が青い光を吸収すると、緑に見える
緑の体羽には、インコやオウムの仲間がもつ「プシッタコフルビン」という色素群の、黄色い色素があります。色素は羽枝の外側の層や、羽枝からさらに分かれる小羽枝に分布しています。
この黄色い色素は、光のうち青付近の成分を吸収します。内部の構造が返す光に、色素による吸収が加わることで、目に届く光の割合が変わり、羽が緑に見えます。「青い構造色に黄色が加わって緑になる」という説明は、黄色の光を足すという意味ではなく、色素が通す光と吸収する光を選ぶという意味です。
2012年にセキセイインコの羽を調べた実験では、緑の羽から黄色い色素を抽出すると、肉眼では青く見えるようになりました。一方で、光を最も強く返す波長は緑の領域に残っていました。青付近の光の反射が増えることで見え方が変わったためで、緑の羽の構造が、青い羽とまったく同じというわけではありません。

黄色い色素をつくれないと、青い羽色が現れる
プシッタコフルビンは、インコ自身がつくる色素です。食べ物に含まれる黄色い色素が、そのまま羽に移っているわけではありません。セキセイインコでは、この色素をつくる酵素の働きと、青い羽色の関係も調べられています。
2017年の研究で扱われた遺伝的な青色変異では、黄色い色素の合成に関わる酵素の一部が変化し、その働きが失われていました。研究者が通常の酵素を酵母で働かせると黄色い色素ができましたが、青色変異に対応する酵素ではできませんでした。黄色い色素がつくられなくなると、緑に見えていた体の部分で、もともとの構造色が青として現れます。
ただし、青っぽく見える羽をすべて「黄色い色素が完全にない」と決めることはできません。2012年の実験では、淡い青や濃い青の試料にも、黄色い色素の寄与が見られました。黄色い色素の有無を基本にしながら、その量や内部構造の違いも、細かな色合いを生む要素として捉えるとよいでしょう。
まとめ
セキセイインコの青は、羽の内部にあるケラチンと空気の微細な構造が生む構造色です。緑の羽では、黄色い色素が青付近の光を吸収し、構造が返す光と組み合わさって緑に見えます。
黄色い色素をつくれない青色変異では、構造色が表に現れます。青と緑を見比べるときには、色素が光を吸収する働きと、構造が光を返す働きの両方に目を向けると、小さな羽の色をより深く楽しめるでしょう。





